本書では高配当株投資の勘どころを丁寧に解説していきます。
はじめに より
いつもお世話になっております。
タイトルの通り、高配当に関連すると思われる書籍を読んでみました。
著者の窪田真之さんは過去にファンドマネージャーをしていた経験がある方で、その頃からバリュー投資を実践していたそうです。
そして同じバリュー投資家で世界一有名といっても過言ではないバフェットを信奉しているそうで、この本のところどころにバフェットだったったら~といった感じで出てきます。
では、私がこの本のポイントと思った部分をまとめておきます。
Contents
作者はバリュー投資家でバフェット好き
この著者の方は元々がバリュー投資でファンドを運用していた方ということもあり、バリュー投資に自信があるようです。
なので本の内容も基本的にはバリュー投資の内容となっております。
また第1章のタイトル
「ウォーレン・バフェットが日本の5大商社を買う理由」
であり、中身は「なぜバリュー投資家のバフェットが、敢えて日本の5大商社を買ったのか?」
5大商社の過去や現在、そして未来の展望・業績や背景はどうなっているのか?
といった分析と解説がなされています。
そして第2章のタイトルが
「筆者が選ぶ『もしバフェ』5銘柄」
である通り、もしバフェットだったらこの日本株を買っていたのではないか?と実際にいくつかの銘柄を挙げ、それがバリューであり実際の価値はもっと高く今後も期待できるという理由を述べて居ます。
そして第3章 日本は輝くバリュー株の宝庫である では、日経平均3万円を超え、どの銘柄も高値ではないか? という意見に対し、
「まだまだ日本はバリュー銘柄がたくさんある。その理由はこうである」
と著者の日本株に対する考察が述べられています。
高配当投資と謳い文句はあるが、実際にはバリュー投資の分析ポイントが参考になる
これはどういうことかといいますと、
第6章 三菱UFJは逆バブルの代表 や 第7章 今ハゲタカがいたら狙われる「含み資産株」
には、銘柄ごとの業績や財務分析が、今後の経済動向や政策、そして企業ごとの特性について、ひとつひとつ丁寧に書かれています。
特に第6章なんて、まるまる
三菱UFJの株価は低すぎる!もっと評価してもいい!
というのを1章かけて説明しているわけです。
第7章のハゲタカとは、株価の低い会社の株を買い占め、大株主になったところでその会社の持つ不動産などの資産を売却させ、配当として強制的に利益還元させるような投資ファンドのことです。
今は日本にはいないようですが、昔は結構きてたみたいですねぇ。
そんな、ハゲタカが今いたら狙われる「含み資産株」で紹介されているのは、主に不動産を保有している倉庫関連の銘柄が取り上げられています。
内容としましては「株価が実際にその企業が保有している財産に対してPBRで割安すぎる」というものです。
確かに、株価が割安かどうかを判断する上で、その企業が保有している財産はどうなのか?というのを調べるのは大切なことだと思いました。
でもやっぱりこれって、高配当というよりもバリューかどうかの判断ですよねぇ?
「高配当」という割に配当について触れている部分は少ない
こちらの本、私がちょっと物足りないなと思った点として、
・高配当とあるものの、そこまで高配当について触れている部分がない
・「〇〇年前からこういう条件で投資していたら今こうなった」といったようなパフォーマンスについてのシミュレーションも言及もない
・増配や連続増配、配当性向などに対しても一切説明はない。
といったところです。
本文の中には「ダウの犬理論」(NYダウを構成している銘柄のうち、高配当の上位10銘柄を毎年組み替えていけばNYダウに勝る、というもの)も紹介されており、その日本版も筆者独自に作成しているので、全くないわけではないです。
しかし、私の受けた印象ですと、この本で重きを置かれてるのはまず大型のバリュー銘柄。
そしてそのバリュー銘柄に関係する要素とその分析の紹介
なんじゃないかなぁと思います。なので配当投資の本ですとはあまり言えないような気がします。
1つの銘柄や投資テーマの書き方がわかりやすい。
この本は前述した通り、高配当の本とはなかなか言えず、実際にはバリュー的な要素の方が強いと感じました。
おそらく著者の経験や、現在の仕事内容も関係してのことだと思われます。
実際の銘柄をいくつか上げられてはいるのですが、いい意味ではあまり高配当としては煽っていません。
なので高配当の投資意欲が増したかといわれると、私は増しませんでした。
ただ、紹介された銘柄に対し、著者の分析や投資判断がしっかりと書かれています。
例えば「ESG」や「脱炭素」について、ある銘柄が優位である、期待が持てるといったことを書きたいけれどうまく書けない。
ある企業がバリュー株なのかどうか、現在の状況や未来について、どう分析考察すれば良いかわからない。
といった場合には、この本での銘柄の考察と紹介を参考にしていくと、どんな事を書けば良いか、どんな点を分析すればよいのか?といった事がわかりやすいと思います。
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